※ギア・スクリュ様からいただいた『単方向共有幻薬「ツインスター」』を使用させた頂いております。
※本文中に上記幻薬に対しての解説がございません。どのような効果であるかは、ぜひギア様の日記にてご参照ください。
※とらの服用は完全に間違いです。以下は完全な自業自得です。









雪ゆきユキが降って今日はいつねこネコがいない見ないさっき誰か窓を窓の花の水を今日は静か誰も廊下の匂い何かの匂いの…


……うるさいな。

耳の奥で響く声共。今日はいやに近くに聞こえる。
机に突っ伏してもうどのくらい経つだろう。
外は雪のようで、寮はひどく静かのようだ。ただ「中」にいる蟲だけが騒がしい。
固く閉じた目を開くと、"景色が巡る"。

猫青空海寮部屋女笑顔夜空本道掌少年太陽喪服雨……

…目を閉じる。
少なくともそうすれば、"かつて誰かが見た景色"は消えた。
ただ黒い、いつもの暗さが「中のもの」たちに広がっていく感覚。


ここまで"融解"した状態になる前に、ギアから貰っていた『取扱説明書』に目を通せたことは幸いだったのだろう。
完全に赤文字で警告していた服用方法を試みていた。
粉々に砕けてしまっていた欠片を、もったいなくて紅茶に溶かして飲んでみたら"こう"なった。


窓のうるさい花の水をウルイサイ昨日は一緒に遊んでうるさ寒いなああぁ寒い雪が寒い最近ずっと寒い寒い花の寒い水水を寒いさむいさむい寒い…

大きな声ではない。しかし無視するには難しい。
もともと夜、静かな部屋の中でずっと聞こえていた…聞かざるを得なかった声ではある。聞きなれたうっとおしい囁きではある。
そうではあるが。
絶え間なくエコーする声に我慢できなくなって、突っ伏したまま右手を上にあげて。
振り下ろした。

だんっ

弾みで机にあったグラスが床に落ちて、けたたましい音を立てて割れる。
それに、"誰かが驚いた"。

音   おと  オト音 音音音 音音音オトおとオト 音音音音オト音音音音音おおと音音とおと音音音音おと音音音音音音音音音音音音オ…
「?!」

大量のドミノが扇状に倒れていくような感覚。
誰かの衝撃が誰かから誰かへ伝わり、そしてその波が一気に自分に向かって返ってきた。

「…………っ!!!」

声にすらならない。
自分のものではない強い感情の衝動に耐えきれず、一瞬その大量の声に埋もれかけて溺れる寸前で僅かに意識の端を掴んだ。
どこへ逃げようというのか、椅子から立ち上がりかけて、失われた平衡感覚、気付いた時には強かに床に倒れ込んだ。その衝撃。
そして、"怖い"と感じたその感情。
完全な失態。

「とら?!おい、とらっ」

えっちゃんが蹲る自分の痛イ肩を叩いて痛い肩肩やめて叩か肩が痛い固い肩痛い何ないで広がる痛い怖い怖イこわいちょっと黙れうるさいどうして怖い怖い痛痛い肩が肩を痛くて黙れこれは俺の感覚痛い痛いいたいイタそっちに持ってくイ痛いこわい肩が肩痛怖いコワイのもそっちの感覚痛い痛いイタイ痛い怖いコワイこわいを俺に持ってやめて誰か痛い肩をイタイ肩肩こわい痛いくるのもやめ痛い痛い痛い怖い誰か誰もどうして俺は何故なぜどうして










ドウシテ オ前ハ ソッチ ニ イル   ノ    ?


………………………







「……ちょっと…」
頭を抱える腕、を上に持ってかれる。
視線を上げれば、不可抗力の涙にどうしようもなく滲む視界、に映り込む空青銀草鳥銀銀…
「取説読めないの?馬鹿なの?死にたいの?」
「…………」


…黒いサングラスの奥の、蛇の目。


『あるいは"用法・容量を守って正しくお使いください"』




 

ギアさんご協力ありがとうございました(笑)
ぜひこの後は「中のアレ」が落ち着くまでぎゅっと抱きしめたりデコちゅーしてくれたり

で・は・な・く

鳩尾一発問答無用の強☆制☆終☆了☆でご対応お願いします!!( `・ω・´)ゝ”

実はこれ↑が書きたいがためにSS書いたとかでないです(笑)


・・・と思っていたら、なんとギアさんがステキにご対応してくださいましたぁぁぁぁぁぁっっ!!
すごいですっ!!きちんと状況説明頂きましたっ!!なるほどっ!こういう話だったんだぁぁぁ・・・っ←
ご承諾を頂いけたので全力で転載いたしますよっ!!ぜひっ!ぜひご一読をっっ!!
side:Gear

(ギアさんのを読み返してからあまりな自分の文章が恥ずかしくて加筆修正したことは公開秘密です☆)